関節痛の患者さんがお見えになりました
皆さん、こんにちは。
お盆も過ぎて蝉の鳴き声が減ってきたように思いますが、秋が来るのはまだもう少し先のことになるでしょうか。
先日から、関節痛の患者さんが何人か受診されました。
関節痛を訴えられる患者さんは多いのですが、原因が色々とあるため診断が難しい症状でもあります。
60才代の男性の方は足の親指の付け根が赤く腫れて痛むということで来られました。数年前より尿酸が高いためにお薬を飲まれており、足の親指の付け根の関節痛発作も何回か経験され、お酒もよく嗜むということから、典型的な痛風と診断しました。
痛風は、関節液に溶けていた尿酸が沈殿してくるために関節炎を起こした状態です。1992年の東京女子医大の報告では98.5%が男性で女性はわずか1.5%でしたが、最近では女性も6%に増加しているという報告があります。いずれにしても、女性に少なく男性に圧倒的に多いことは間違いありません。痛みを起こす関節のほとんどは足で、特に膝よりも下の関節に起こりますが、慢性化すると手指の関節炎をおこす場合があります。また、血液検査で尿酸が高くなくても、痛風をおこすことがあります。生活習慣では、レバー・干物・魚卵などのプリン体を多く含む食品やアルコールを摂られる方におこりやすいことが知られています。
40才代の女性の方は右手の薬指の付け根が数日前に赤く腫れて、とても痛んだということでお見えになりました。近くの病院で診てもらったところ、痛風と言われて痛み止めを処方されたとのことでした。関節炎であることは間違いないのですが、食事の嗜好をおききしたところ、お酒は飲まず、プリン体の多い食品もそれほど食べられていないということでした。関節炎の部位、女性であること、食事の嗜好などからは、痛風以外の可能性も考える必要があるように感じました。
痛風によく似た関節炎を来す病気に、偽痛風というものがあります。これは痛風の原因が尿酸であるのに対して、ピロリン酸カルシウムという物質が関節炎を起こす病気です。偽痛風では、男女の性差はないか、やや女性に多いと言われており、また足だけではなく様々な関節に症状を起こします。高齢の方に多くみられますが、若い方でも起こりえます。首の関節(頸椎)に関節炎をおこすと頭痛が起こることもありますし、関節痛に加えて38℃を超える発熱や体重減少をきたすこともあります。関節液からピロリン酸カルシウムを検出することや、レントゲン検査で関節に石灰化がみられることで診断します。
この患者さんは偽痛風の可能性が高いように思われましたが、診察時に痛みの部位の腫れがかなり軽減しており、圧迫してもそれほどは痛みを訴えられなかったため、改めてお薬は処方しませんでした。ただ、手の関節痛では関節リウマチなどの初期のこともありますので、整形外科を受診して頂いた方がよいことをご説明してお帰り頂きました。
横山スマイル内科クリニックでは、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医が丁寧にお話を伺い、診察を行った上で、的確に診断・判断いたします。
腎臓病のみならず、お困りの症状がありましたら、どうぞお気軽にお越しください。
( 2019.08.23 )